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そんなつもりなかったのに、いつの間に? それがキミの支えになっているなら別にいいんだけどね。 10.気になる仲 「ムサシくーん、ちょっと買い物に行きたいんだ・・・けど、って。」 あ、しししまったぁあ!!!?? 「・・・サーン。今もしかしてムサシとオレ間違えたってやつ?」 ・・・・。 ・・・・。 「す、すみません。その・・・今日はカカシさんお仕事お休みでしたね。つい・・・・ハハハハ。」 ヤバい(汗 思わず口を出た、この場にはいない忍犬の名前に焦る。 シャレになんないでしょー。 がくっ、と肩を落とすカカシ。 チラ、とを見る目は心なしかうっすら涙が浮かんでいるような・・・。 「カカシさん、あの本当にごめんなさい!いつも一緒にいるからつい口から出ちゃったといいますか・・・。」 そんな必死に謝られると尚更傷つくんだけど。 「いいよ、どーせオレよりムサシの方が断然一緒にいるもんね〜〜。」 にしても、部下とっていうか犬と間違われるオレってどうなの〜。 カカシさーん(汗 少々やさぐれるカカシには焦る一方だ。 「ま、それはいいとして。」 「以後気をつけます。」 「はい。で、いつの間にそんなに仲よくなってたの?」 「んーいつの間に・・・そうですねぇ〜〜きっかけらしいきっかけは結構最初の方だったと思います。」 「へぇーなんかあったの?」 「あったってほどではないんですけど・・・。」 「うん?」 はその時の事を思い出しながら、カカシに話して聞かせた。 ・・・あれはまだムサシがカカシに頼まれての側にいるようになったばかりの頃、 は喋る犬というのに未だに緊張し、ムサシは初めて長時間関わる女というのに今いち距離感がつかめずにいた。 「あの・・・ムサシくん?」 「なんだ。」 本人は決してそんなつもりはないのだろうが、にしたら睨まれているように感じてしまう。 昔近所にいた凶暴で前の道を通ると必ず吠えてきたあの犬への恐怖心がどうしてもよみがえる。 いわく、ムサシくんは違うってわかってるけどだって・・・なんか怖いんだもん!だそうだ。 「お前・・・オレが怖いか?」 「えっ?!あっ、えとー・・・少し。・・・ごめん。」 そんなの慌てる様子を見てムサシはふぅ、と一息ついて。 「まぁ普通はそうだろうな。」 「でも、仲よくしたい気持ちはすっごくあるんだよ?」 「あぁ。」 本当にわかってくれているのだろうか、とが不安をいだいてしまう程にムサシの反応は必要以上は返ってこない。 お互い距離を縮められないまま、午前中がすぎる。 き、気まずい・・・。 何とかして午後はムサシと普通に接する事が出来るようにならねば。 これからカカシがいない間はずっと一緒にいるのだ。 物事、張りきってしまうと空回りするのが世の常というもの。 「い"っ?!」 「ごめんー!!?!?」 掃除をしていると、のんびり日向ぼっこをしているムサシくんのしっぽをふんずけてしまうし。 「ムサシくん、新しい水ー・・・わっ!」 バシャッ! 「・・・。」 「・・・すみません(涙」 水を取りかえようと皿を運べば、彼の頭に皿ごとぶっかけるなんて事を見事にやってのけた。 ムサシくんは怒りたいけど、一生懸命それを堪えてくれているみたいで無言でプルプルと身体を震わせていた。 「ぶっ、アハハハハ!!、ムサシにそんなことしたの?」 忠実な部下として賢く自分の戦闘のアシスタントをこなす、普段のムサシがそんなことになっていたとは。 想像すると腹を抱えるほど可笑しくなったカカシは、ヒーヒー言いながら笑っている。 「わ、笑いすぎですよ!私だって一生懸命だったんです〜。」 「あはは、ごめーん。だってさ・・・くくく、ムサシが。」 見事にツボに入ったらしい。 カカシさんがここまで笑うなんて初めてみたなー。 そんなに面白いことなのかな。 ますますカカシがわからなくなるであった。 「んで、そのあとはどうなったの?」 涙を指で拭いながら、カカシはに話の続きを促した。 その後、いい風に見せようとするからこうなるのだという事には気づき自然と歩みよれるまで待ってみようと思った。 次の日にもムサシとお留守番をする事になり、先ほど決意をしたがやはり昨日が昨日だったためは少し緊張した。 平常心、平常心・・・。 あ、そういえば買い物行かなきゃ。 とムサシ、初のお出かけである。 「ムサシくん、あの・・・買い物に行きたいんだけど・・・。」 「あぁ」 ムサシはそう短く返事をして玄関へ向かった。 道中まことに気まずいものがあったが、帰り道には新たな発見をした。 「そっちの、かせ。」 「え?」 「重いだろ?持ってやるよ。」 と重たい荷物を持ってくれたり、さりげなく道路側を歩いてくれたり、 歩調も本当ならもっと素早く動けるだろうがにあわせてゆっくりと歩いてくれた。 ムサシくん・・・紳士すぎる!!! は紳士な対応をしてくれるムサシに目をキラキラさせていた。 「なんだ?」 「いやームサシくんて犬なのにとっても紳士なんだなーと思って。私感動しちゃったな〜。」 ムサシとしてはカカシから言いつけられた通りに、未然にを危険から遠ざけるよう行動していたにすぎない。 紳士だなんて言われてもな・・・嬉しくないぞ。 「別に、当たり前の事をしているだけだ。」 そう言いながらなんだかムサシはそわそわしている風に見える。 「あれ、・・・ムサシくんもしかして照れてる?」 「知るか。」 フン、と鼻をならし少し先を歩くムサシは口では素っ気ないが実は人間味溢れる犬なのではないかと思った。 何だか、あれだけ怖がっていた自分がバカみたい。 ふふふ、と心の中で微笑み、今までのムサシと過ごす上で感じていた息苦しさはなくなっていることには気がついた。 「ありがとう。」 「なにが?」 「いろいろとね。」 しばらくの真意を測るようにじっと見つめていたがそのうちに前を向き、 ムサシは相変わらずゆっくりとの歩調にあわせて歩みを進めた。 何となく心地よくかんじて、散歩がてらに少し遠回りして帰ることにしたとムサシは たどり着いた川べりに休憩がてら荷物をおいて座った。が座る隣に当然のようにムサシが座る。 「ムサシくんはさ、」 「なんだ?」 「忍犬じゃなくて普通の犬として生活したかったな〜って思ったこと、ある?」 の突然の問いに、しばし考えるようにしてムサシは黙りこんだ。 「ないな。」 「そうなんだ?」 「産まれて間もなく親元から離れて忍犬としての訓練を受けたから、そんな考えすら元々ないというのが本音なんだがな。」 「それが当たり前ってこと?」 「そうだ。」 「ふーん。」 「でもまぁ、だから今考えてみたんだ。もし自分が忍犬じゃなかったら、普通の犬としてカカシじゃなく一般人の所で暮らしていたら。」 「うん、どうだった?」 「無理だな。」 「え?」 「俺は忍犬としてカカシと一緒に戦える事に誇りを持っている。」 「あ、そっか。」 「それに、」 「それに?」 「アイツの側は居心地がいい。」 そう答えたムサシくんの顔つきは、怖いどころか今もどこかで任務をしているであろう主人を思って、 穏やかで優しいものだと思った。 「好きなんだね、カカシさんの事。」 「そりゃー主人だし。たまに無茶苦茶だけどな。」 「あ〜それカカシさんに言っちゃおー。」 「な、なんでだよ。」 やはり主人であるカカシは好きでも怖いのか、ムサシは初めてうろたえた様子を見せた。 「うそうそ。そっかーなんか変な事聞いちゃったね。」 「そうか?」 「んーだって、そんな当たり前の事聞かれても困ったでしょ?」 「別ににしたらこの世界の事は当たり前じゃない事の方が多いだろう?別にかまわんさ。」 「えへへv」 「・・・お前そのよくわからん笑いやめろ。」 「だって〜ムサシくん顔に似合わず紳士だなーと思って。」 「顔は余計だ。」 それからしばらくとムサシはぽつぽつと話をした。 まるで今までの距離を急いで縮めるかのように。 すると突然ムサシがその場で立ち上がった。 「どうしたの?」 なにか危険な事でも察知したのか、それともまさかカカシさんに何かあったんじゃ・・・? 「・・・川、入ってきていいか?」 「は?」 「さっきからどうにも気になってな。帰る前に水浴びしてきてもいいか?」 ・・・水浴び? 要するに、遊んできていいかってこと? 「ぷ」 「あっははは〜」 「オイ!なんで笑うんだよ。」 「だ、だって〜あははは、何かと思ったら・・・く、くくく水浴びしたかったんだ、ムサシくん。」 に笑われて恥ずかしくなったのか、ムサシはそっぽを向いてしまった。 「俺だって一応犬だぞ。」 「そうだったね、ごめんごめん。いいよアタシはここで待ってるから行ってきなよ。」 が笑ったことがよっぽど気にさわったのか、 ムサシは小さくいってくる、とだけ言い残し早々にかけていった。 やっぱりムサシくんてああ見えて犬なんだ。 っていうか、なんかかわいいv とが思っていた事がわかったのか先ほどのお返しなのか、 朝までの距離感が今では嘘みたいなのが嬉しかったのか、 ムサシは帰ってきたとたん身体を震わせに水を浴びせた。 「わー!?冷たいよー。」 のその言葉にニヤっとしたことから、たぶんどれも当たっているのかもしれないとは心の中でひっそりと思う。 そんな事があってから、今現在のような関係に至るというわけだ。 「ふーん、ムサシにまだそんなかわいい所が残ってたんだねぇ。」 「あれ、元々あんなかんじなんじゃなかったんですか?」 「いやー子犬でオレのとこに来たばっかの時はそりゃーかわいくてねぇ。」 「へぇーそうなんですね。」 「今度子犬の頃の写真見せてあげるよ。」 「え、いいんですか?見たいーvv」 もうすっかり仲よしなんだねー。 を守るように言ったのはオレだけど・・・・なーんか複雑。 「ま、でもうまくやれてるみたいでよかったねー。安心したよ。」 「はい!ムサシくんにはお世話になりっぱなしですからー。」 「ん、使ってやって。」 「でもさー。」 カカシは目を細めて少し斜めにを見た。 「あーんまり仲よしだとオレ妬けちゃうなァ。」 「え、あーそうですよね。今までカカシさんの方が断然ムサシくんといる時間長かったですもんね。」 ・・・ん? 「それをいきなり現れた私がムサシくんを独り占めしてるみたいで、そりゃあいい気しないですよね。すみません。」 サーン、そっちの意味じゃないんですけど。 またしても天然炸裂なは、そんなカカシはお構い無しに。 「でも、ムサシくんと私はただの友達ですから。カカシさんからとったりしませんよv」 ご心配なく!と張り切っていう。 ・・・・(涙 もはや間違いを指摘する気力すら、の笑顔に奪われてしまったカカシであった。 ただ、はで別の心配をしていた。 ムサシくん、カカシさんに余計な事言ってないといいけど・・・。 カカシが任務でしばらく戻らない夜。 「カカシさん、ケガとかしてないかな。」 「大丈夫だろ。」 の不安そうな声に、思わず近寄るムサシ。 「ご飯ちゃんと食べてるかな。」 「アイツ、が来てからだいぶまともにメシ食うようになったぞ。」 「無事で帰ってくるよね。」 「カカシはあれでかなり強いからな、大丈夫だ。それに本当に緊急事態だったらオレが呼び出されてるさ。」 「うん、そうだよね。」 どうしても拭いきれない不安。 1週間くらいで戻ると言って任務に向かってから、今日で1週間と3日がたつ。 いくらムサシから忍者の事を聞いても、実際に目でみたわけではない世界に色んな憶測がの心に浮かんでは沈む。 早く帰ってきて欲しい。 無事だと確認して 心から安心したい。 「・・・。」 「ごめっ、・・・ふ、・・・うっ」 カカシを思って、不安が涙となっての瞳から流れる。 こんな時、ムサシはヘタに言葉で慰めるよりじっと側にいる方がよい事を知っている。 はムサシが苦しくないくらいに力をこめ抱きしめて泣いた。 優しく慰めてくれる彼の、帰らぬ主人の無事を思って。 そうした事が何度かあり、その度に冷静になって考えるとムサシがカカシに話していないか心配になる。 しかし、こうしてムサシの事が会話に出てもカカシからはなんの話もでないのでムサシは黙っていてくれているのだろう。 カカシさんに知られたら、恥ずかしくて顔あわせられないよ。 「?」 1人赤くなったり、青くなったり百面相をしているを不思議に思ってカカシは顔を覗きこむ。 「あ、いえ!なっなんでもないです。」 なーに考えてたんだか。 相変わらず天然で見ていて飽きない。 「次ムサシと間違えたら、・・・何してもらおっかな♪♪」 「え、変なことはやめて下さいよ。」 「変なことってなーに?」 ニヤニヤ笑うカカシ。 1人勘違いして赤くなる。 「ってば、やーらしvv」 「もう///カカシさん!!」 「あははは」 こうして、カカシの休日はゆったり過ぎていった。 気になるとムサシの事が聞けたし。 ま、満足かな? 以上が、ムサシとさんのノロケ話でした(笑 オリキャラが全面的に出張っていて申し訳ないです(汗 カカシ先生ちょっとしかでてないですよねー。 でもワタクシ的に話を進める上で、書きたかった話なので一応アップです。 次のお話は、中忍の彼に頑張っていただきますvv |